2012年 美和子が聞く

武周のお講さま 10月


当番 こだかしさん

午後7時からおつとめ  お茶  法話2席


正信偈の中に、曇鸞大師がご本願にであったことで、せっかく手に入れた不老不死のお経(仙経)を焼き捨ててしまうという
ショッキングな場面があるそうです。
「三蔵流支、浄教を授けしかば 仙経を焚焼して楽邦に帰したまいき」
  「流支という三蔵法師が、(曇鸞に)浄教を授けられた時、
  (曇鸞は)仙経(長生きの教え)を焼き捨てて、楽邦(浄土の教え)に帰依なさいました」

曇鸞大師に「不老不死にならなくても構わん」と思わせたものは何なのでしょうか?

今回のお説教は、最近の明るいニュース、
ノーベル医学賞を受賞したiPS細胞の話を例にあげながら、
どんどん長くなる命を、私たちはどのようにいただくのかという問いかけから始まりました。

私たちの心の中には我や欲がたくさん詰まっています。
iPS細胞も使い方によっては、薬にも毒にもなる。
我欲で使ってしまえば、毒になってしまう危険がありますよという指摘は、
明るいニュースをただ、手放しで喜んでいた私にはショックでした。

「いただきものの、この一日を、どう喜んで生きていくのか」

ただ、与えられたものを、喜んで受け取って生きていく、
そんな生き方に、魅力を見出すことが、だんだん難しくなりそうです。

自由自在に細胞を作り出すことが出来るiPS細胞は、
まさに曇鸞大師が手に入れた不老不死のお経のようなものです。
なぜ、曇鸞大師が不老不死の道を選ばなかったのか、
私たちの周りにいる人、亡くなっていかれた方を思いながら、
今こそ立ち止まって、じっくり考えてみる必要があるのかもしれません。