福井市武周町 西雲寺さいうんじ 真宗佛光寺派 なんまんだぶつとしだれ桜のお寺です 

お内仏の報恩講

1月15日

お内仏というのは、その家が代々大切にしてきたお仏壇という意味です。
今の世の中、家を継ぐという考えがほとんど崩れ去っていますので、若い世代にはお内仏は縁の薄いものになっているでしょう。
家を継ぐということは、親が大切にしてきたものを引き継ぐということです。
大切にしてきたものといえば、家屋や敷地、田畑、山林、もしくは会社、職人的な技術、財産など思い浮かびます。
それが今、社会的な価値がひっくり返って、ほとんど見向きもされなくなりました。
悲しいことですが、どうしようもありません。
ただ、先人が大切にしてきたもの、ほかにまだあるのではないでしょうか。
僕はもうひとつ、命日を思います。

先人は、命日を大切に暮らしてきました。
例えば、早くに死んでいった幼子の命日、若くで死んでいった兄弟の命日、もちろん両親や祖父母の命日…
1月15日に亡くなった人がいたなら、毎月15日にはお内仏で少し長いお経をよみ、肉や魚を食べずに、故人と苦労や悲しみをともに過ごしました。
そんな精進日が、月に何回もあったわけです。
お内仏を引き継ぐということは、親が大切にしてきた命日を引き継ぐということです。
実際、若くして死んでいった親の兄弟に自分は会ったことがないわけです。
それでも、大切に思い続けてきた親の想いを、引き継ぐのです。
例えば、僕の家庭では2月9日という命日が大切にされてきました。
雪で家がつぶれ、6人が亡くなりました。今から90年前のことですから、僕はだれも知りません。
これは、社会的な価値観が変わっても、変わらないものだと思います。
住む場所が変わっても、お仏壇が小さくなっても、命日を想う心はひとつなのです。
ですから、お内仏は現代においても、本当は大切なのです。

そんなお内仏の報恩講に、村の方々にお参りいただいて、
さらにお手伝いの女性の力をお借りして、粗飯のおもてなしまでできること
これは本当に嬉しいことです。
みなさんに感謝しながら、続けていきたいと思います。












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